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カンクンから車で南へ30分ほど車で走ると小さな漁村、プエルト モレロスがある。 プエルトモレロスのことを人々は「プエルト ムエルテ」(死んだ港)と冗談交じりに呼ぶ。 カンクンやプラヤデルカルメンなどの急速な開発とは異なり、ここにはまだメキシコらしい風情が残っている。大きなショッピングモールもスーパーマーケットもなければ、人口もまだまだ少ない小さな街。 ここのジャングルに私の友人、GOYOが住んでいる。 アメリカ合衆国で生まれの彼は、色々な地を転々と移動した後、20代後半からここに30年以上住んでいる。 私が彼と会ったのは1年半ほど前。チアパス州、パレンケのある宿で会った。 まさかカンクンから車で12時間も離れた場所で、カンクンの我が家の近くに住む、この興味深いおじちゃんGOYOに出会うとは不思議な縁だと思った。いつも大きな声で腹の底から笑い、心にはガードがなく、すぐ私たちは友達になった。 カンクンやプエルトモレロスがかつてマングローブが生い茂る自然豊かであった時を知る人はあまりいないが、彼はこのカリブ海沿岸の変化を見続けてきた。そして彼自身の人生も変化に満ちていた。 アルコールやドラッグに溺れ続けた後、14年前、路上で酔いつぶれながら全てを失ったことを悟った彼は自殺を試みた。 私の想像を絶する絶望の淵からアル中更生のプロセスを経て、彼はもう一度人生を一から始めようと心に決めた。 今では同じアルコール中毒、ドラッグ中毒の悩みでさまよう若者を助けたり、地域の人々や外国人などのボランティアなどと一緒にマヤサウナ「テマスカル」の運営や、マッサージ、霊気、瞑想などのプログラムを行う為のヒーリングプレイスを建設している。 プエルトモレロスに住んでいる人々は、彼がアル中の時を知っているし、更生後の彼も知っている。 普通人生をやり直したいとき、過去の自分を知っている人がいない場所に行くことが多い。 でも彼は同じプエルトモレロスを選んだ。 「自分の見方次第で周りや世界の状況が変わる」 一緒にプエルトモレロスにあるカフェテリアでカプチーノを飲みながら、彼はそう語った。 今58歳の彼は、人生を美しく、希望に溢れるものとして謳歌している。 GOYOの土地には水も電気も通らない。高級ホテルとは対象的に、まだ開発の手が進んでいないジャングルの真ん中だ。 GOYOは「いつでも遊びにおいで」と言ってくれるので、最近私はよくここにくるようになった。 GOYOのヒーリングプレイスにはWOOFFのボランティアも世界中から常に訪れており、建物を建てたり、作物を育てたり、掃除をしたり、時にはビーチに行ったりしながら過ごしている。 今回遊びに行ったときは、イギリス人とドイツ人の人々が来ていた。 イギリス人のピーターはトルコで会社を経営などした後、ヨガの教えに目覚め、タイに行ってヨガを習得。 その後、メキシコの知人が運営するホテルでヨガを教えながら人生の旅を続けている。 ドイツ人のマヌエラはドイツの大学で体操を学び、メキシコシティのドイツ人学校でインターンを数ヶ月務め、その後この場所に訪れた。 ジャングルの中では裸の心で接することができる。 鏡も見なければ、それぞれが自分自身に戻ることができる。 年齢も、性別も、関係なく、その人がその人自身に戻る場所。 私たちは今や大きな街に住み、システム化された社会に適応しようと時には必死になってはいないだろうか。 ストレスを抱え、時間を最大限に有効利用しようとし、無理をしていないだろうか。 人生の一瞬一瞬はあっと言う間に過ぎていくが、その一瞬一瞬を将来の心配、過去の出来事を考えることに費やしていやしないだろうか。 生きているという感覚がどんなものであったかということも忘れて.... 鳥が鳴き、木々の葉がさわさわと音を立てたりすることに心も奪われずに... 約10日間過ごしたドイツ人のマヌエラがメキシコを発つ時、バス停まで見送りに行った。 私がさよならの抱擁をした時、彼女の目には涙がたまっていた。 心が本当に綺麗な人だな、と私はその涙に感動した。 人との関係も、どれだけ長い間過ごしたのか、ではなく、どれだけ自分らしくその人と向き合い、接したということなのかもしれない。 そして様々な人生を生きる人とピュアな心で接することこそが、ひとつの人生の楽しみであると私は思う。 #
by tukopamoja
| 2009-04-07 08:06
| MI VIDA
ご無沙汰しております。 2月9日に日本を出発して、今現在カンクンでの生活を再会しました。 引越しやら、いろいろな事情で投稿できなかったのですが、全て順調に進んでいます。 8ヶ月ぶりに帰ってくるメキシコは、私の心持のせいか、街自体は変わっていなくとも、色々な意味で違って見えます。 最近は本当の「愛」を目の当たりにすると、なぜか自然に目から涙が出てくるという症状が現れています。 心の琴線というのは本当に存在するんですね。 先日は家の修理に来たマヤ人のメンテナンスのおじさんと、YUCATAN州の村の生活について話していたところ涙が出てきました。 感動とか、哀しいとかそういうこととではなく、自然と涙が出てきます。 YUCATAN州のジャングルに散らばるMAYA人の人たちの生活は愛に溢れ、時間がゆっくり流れ、そしてORGANICな生活を今でも続けています。 そういう人たちに触れる機会というのは本当に不思議な体験で、「超人間」とはこういう人たちのことを言うのかな、と考えていました。 モノがなくとも、お金がなくとも、そこで生活をすることを本当に愛している人たち。 あるマヤのおばちゃんは、「ここから絶対に離れたくない」と言っていました。 夜は満天の星空。 自然に逆らうことなく「生きる」ひとたち。 そういう超人間はいまでもメキシコのYUCATAN州に存在しています。 自然とともに彼らは今でも生きているのです。 #
by tukopamoja
| 2009-03-05 04:13
| MI VIDA
11月15日の京都での手作り市、並びに11月23日の名古屋でのなごやか市。 これらふたつの楽しいイベントに参加してきました。 そしてマヤパンツとフレアーパンツを完売いたしました。 マヤパンツ。フレアーパンツとも、今のデフレの世の中では決して安くはない値段設定ですが、マヤの女性達の刺繍に一目ぼれしていただいた方々の元へ旅立っていきました。 とってもうれしい気持ちでいっぱいです。 藍染の服を当日も着ていらっしゃった孝子さん。(手作り市・京都) マッサージ師の康介さん。なごやか市の開店早々、購入してくれました。(なごやか市・名古屋) 情熱だけで始めたプロジェクト。 出来上がった商品は本当に世界にひとつしかない手作りの温かみが感じられる品々です。 中には、手作り市に出品する私を2ヶ月ぶりに探してくれる方もいたほど、京都の百万遍の手作り市では数々の良い出会いにめぐり合いました。 そこで私が実際に感じたのは、こだわれば、こだわるだけ、この資本主義経済では「アホ」とも言われてしまう私の行為を、認めてくれる人たちも確実に存在するという事実。 私はまだ店舗も持っていませんが、お店があったら行きます!とまで言ってくださる方々もいて、「がんばろう」という気持ちになりました。 ただの売り買いを超えた、モノを媒介とするコミュニケーション。 大型店ではなく、八百屋から買う。 買い物という事柄をひとつとって、それがもたらす様々な事柄を「商人」のような立場で勉強させていただきました。 私も、マヤの女性が作る商品を通して、良い人々に巡りあえたことがなによりの財産だと感じています。 またメキシコに帰って、今回日本で得たこと、出会った人たちとの出会いを励みにがんばろうと思っています。 #
by tukopamoja
| 2008-11-24 17:44
| TRABAJO
今月11月15日(土曜日)に京都、知恩寺の手作り市への出品が決定しました。 毎回出品許可は抽選で決定されるのですが、紅葉の秋でにぎわう11月の手作り市はかなりの激戦。出品許可が当選しにくいというのを耳にしていたので、出品決定のハガキが来たときは本当にうれしい気持ちになりました。 メキシコのチアパス州で、情熱だけで始めたプロジェクト。女性達と作った商品を持っていざ帰国した後、これからどうやって商品を売っていこうと悩んでいた矢先に、この手作り市の存在を友人が教えてくれました。 不安な気持ちで参加した8月の猛暑の初手作り市。そこで様々なお客さん達と出会い、たくさん励まされ、そのお陰で「これからもこのプロジェクトをがんばっていこう」という気持ちになりました。 いい空気、いいバイブレーションが流れる知恩寺の手作り市。 皆が「手作り」の価値を見直し、そしてクリエーターも頑張ろうと思う機会を教えてくれる場所。 この手作り市は本当にさまざまなクリエーターさんたちが心をこめて作ったオリジナルの商品が並んでいます。 買い手も手作りのモノは大切に扱おうと感じる。なぜなら、そのモノには作り手の真心がこもっているから。そんな真心がこもっている商品は、簡単には捨てれない。そういう観点でみれば、手作りのモノを買うとエコロジーにも繋がるんじゃないかと思います。 心と心が通い合う。そんな買い物を久しぶりにしてみませんか? 京都・大阪・神戸近郊にお住まいの方々、そして秋の京都に行こうと計画されている方々、もしいらしたら知恩寺で会いましょうー! 開店前に「めっちゃ久しぶりに衝動買いをしました!」と買ってくれたアーティストのりょうたさん。 「岡山にデニムを買いに行く予定だったけど。」といいながらもその後たくさんの友達まで紹介してくれた焼物作家のびーちゃん。 一木の手作り市で、アグアカテナンゴのフレアーパンツを買ってくれたみほさん。 大阪でオリジナルの包LEATHERをされてる素敵な月森一家の皆様。 びーちゃんが旦那様を連れてきてくれました。 マヤの女性が織ったラインバッグを買ってくれた女の子。 個性的で、ナチュラル感溢れる理恵ちゃん。 素敵な焼物を創り、いつも応援してくれるかおりさん。 日本に帰ってきて、皆さんをはじめ、多くの人たちに沢山励まされました。 チアパスで作ったものを通して、出会えたことが本当にうれしいと思える。 地道だけれど、こういう仕事をこれからも続けれるようにがんばりたいと思います。 muchas muchas muchas Gracias a todos!!!!!!! #
by tukopamoja
| 2008-11-04 00:01
| MI VIDA
お久しぶりです。 ずーっと、日記を更新していませんでした。 バタバタ私の生活はすぎて、頭の中が忙しくなっていた今日この頃。 知っている方もいると思いますが実は日本に帰国しています。 帰国理由は、家の事情と、チアパスで作った製品を日本で売ってみるという挑戦を試みています。 両方ともハードルは高いのですが、山の頂上に登るには最初の一歩を踏み出すしかないのですね。 まずはホームページを作ってみました。 http://elmaizmexico.com/ 商品もまだまだごくわずかしかないのですが、全て一点モノ。チアパスの女性達がひと針ひと針刺繍をしてくれました。 そしてそれと平行して、京都の百万遍で開催される手作り市に出品しています。 といっても、8月が初デビュー。 ドキドキの出品でしたが、中には「久しぶりに一目ぼれして、衝動買いさせてもらいました」と言って、商品を買っていってくださる方や、「岡山まで行って、手作りジーンズを買う予定でしたが、このパンツ気に入りました!」と言って買ってくださった方がいて、本当に幸せな気持ちになりました。 作り手も、売り手も、買い手も皆が「よかったー」とニコニコするトレードをこれからも目指していこうと思いました。 今回持ってきた商品の目玉は”マヤパンツ” チアパスの山間で暮らす女性がものすごい時間をかけて手刺繍してくれた一品です。 そしてこのマヤパンツはまさにそんな一品です。 実は、この布は、彼女たちが着る民族衣装の生地をベースに作られています。マヤの女性が身につけるスカート。 それからヒントを得て、だれでも、はけるフリーサイズのパンツにしあげました。 手作りの品を通して、チアパスの女性と日本人が繋がる。 掛け渡しをこれからも続けて行きたいと思っています。 商品や、ホームページのご意見をお待ちしています。 まだまだ先は長いけれど、このプロジェクトを続けて行きたい。 そのためにも、皆の意見がとっても大切です!よろしくお願いしまーす! 次回の手作り市出品は10月15日予定です。京都近郊の方、是非来てねー! 皆に会いたいです。 #
by tukopamoja
| 2008-09-30 00:23
| MI VIDA
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